六本木ヒルズ


東京のど真ん中で強引に鳥見

 

超高層ビルにタカが寄る?
マスコミでもお馴染み、六本木ヒルズ。私の職場はここにあります(というとIT企業で高収入っぽいが、いずれでもない)。こんなところに鳥などいるわけがない、と普通は考えますが、意外にもタカ・ハヤブサの仲間をたまに見かけます。また、造られた緑地にも小鳥が来ています。東京でも指折りの人工的環境でバードウォッチングをしてみました。
→青山墓地の方から見た、六本木ヒルズの偉容。


環境は最悪だと思うのですが…

 ファッションと話題のスポットが好きな人には最高かも知れませんが、鳥にとっては最悪(に思える)。脇を首都高が走り、その向こうには米軍のヘリポートまであって昼間は騒音に満ちている。
夜もオフィスの窓はほとんど明かりが落ちないし、街は派手なカッコの人でいっぱい。ビル自体も赤青緑のライトアップ、街路樹まで電飾を巻き付けられてキラキラ。テレビ局の前ではイベントなども時々開催しています。
 敷地内にまとまった緑地があり(毛利庭園)、その他にも樹木は多いのですがそれほどたくさんの昆虫はいません。
 
 
毛利庭園。大名屋敷の名残り。

 

小鳥は何を食べている?
 そんな公園&街路樹でも、都会派の鳥が結構来ています。常連はシジュウカラ、メジロ、スズメ、ヒヨドリ、キジバト、コゲラ、アオジ、あともちろんハシブトガラスドバト。たまに見かけるのはウグイス、ツグミ、ハクセキレイ。2006-2007の冬にはヤマガラ2羽ぐらいが、敷地の南側のわずかな緑地を根城にしていました。
 いずれにしても昆虫が極めて少ないような環境に、わざわざやって来るのが不思議なほどです。特にウグイスとかコゲラは収穫が無さそう。メジロが花のつぼみを食べているところを見ましたし、植物性の餌はそれなりにあるでしょうが。人の目に触れにくい(小さいまたは隠れている)昆虫類がいるのかも知れません。

南側のはずれにある「さくら通り」。
左手の墓地のあたりにヤマガラが居着いた。

タカは壁沿いをヒラヒラと

 3年ばかり勤務して、オオタカ2回、チョウゲンボウ4回、トビを2回観察しました。私もずっと窓の外を見ているわけではないので(笑)、実際にはもっと飛来していると考えられます。
 オオタカとチョウゲンボウは気流にあおられて北側の壁ぎわを激しく上下していました。様子からは、気流に乗るためにあえて壁ぎわまで寄って来ていると思えました。ただしそのままビルより上へ舞い上がって行くところは見ておらず、いずれも東などに(水平方向に)去って行ったようなので、違うかも知れません。特にチョウゲンボウはさかんに羽ばたいて一定の高さあたりをキープしているようにも見えたので、何か別の目的(昆虫類が舞い上がって来るのを待っているとか、巣作りの場所を物色しているとか)があるのかも知れません。

 他に上空を通過した鳥としては、アオサギカワウを見ました。
 (チョウゲンボウはその後も何度か見かけましたが、2013年1月、ハヤブサのペアが出現、壁際をビュンビュン飛び回る。その後も遠目にそれらしいのを見かけたので、時々来ているかも知れない。)
 (2013年11月ハヤブサ、12月オオタカそれぞれ1羽が出現、撮影に成功。また、11月以降、チョウゲンボウ1羽がタワーのてっぺん近くの壁面にとまったり、周囲を飛ぶ姿が毎日のように観察できています。)
 (2013年12月、ノスリが出現。観察した猛禽が5種類になりました。)
 (2014年4月、チュウヒが上空を通過…と思ったがハヤブサの見間違いだったようです。)
 (2014年秋、イソヒヨドリ♂が出現。それにハヤブサ、チョウゲンボウ♂、オオタカが観察できています。12月、チョウゲンボウ♀が現われ、♂に攻撃される。)

 

周囲には静かな環境も
 東京都区内には大きな公園や緑地が多数あり、六本木ヒルズの近くにも青山墓地や有栖川宮記念公園などがあります。

 青山墓地は広々としていてクスノキやマツなどの大木が多くあるだけでなく、(放置に近くなっている古いお墓も多いので)薮もあちこちにあり、雑草も繁茂しています。昼休みにたまに行くだけの私でも、センダイムシクイ、アカハラ、シロハラ、ツグミ、モズ、ジョウビタキ、シジュウカラ、メジロ、コゲラ、カワラヒワ、シメ、ハクセキレイ、ムクドリ、ヒヨドリ、キジバト、ドバト、ハシブトガラスなどを観察しています。2006-2007の冬には、ここにもヤマガラが数羽居着いただけでなく、ヒガラも一度見かけました。2008年3月にはビンズイを観察。
 昼間でも人や車が少ないですし、昆虫類も多いので、野鳥にはよい環境ではないでしょうか。頻繁に訪れていれば、もっといろいろな鳥が見られそうです。

  有栖川宮記念公園は広尾駅の近くにあり、こちらはいつ行っても人がたくさんいます。しかし落葉樹の林に覆われており、土地に起伏があって人為的ながら沢筋のようなものもあり、こちらも野鳥には悪くなさそうな環境です。
 目立つのはカルガモハシブトガラス、ドバトですが、気をつけているとシジュウカラ、コゲラ、カワラヒワ、ワカケホンセイインコ、シロハラなどが見られます。2007-2008の冬には、キクイタダキルリビタキが居着いていました。
 (2008年〜2009年の冬は、ミソサザイ1羽が越冬。たまにモズが来ることにも気づく。)
 (2010年10月、エゾビタキ、コサメビタキを見る。)
 (2012年12月、エナガ、ヒガラ、キクイタダキが多い。ウソも来た。ほかの場所でも、この年は冬鳥の当たり年と言われました。)

高層階から見た眺め。見えているのは新宿。
手前の大きな緑地が青山墓地、左上のは新宿御苑。
大型の鳥から見ればすぐそこでしょう。

 

(2007年3月)

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