ついでのフィールドノート

2003年12月13日 
大宮公園

 子供と動物園に行った帰り道、地面に座り込んだネコと、周りを取り囲んだハシブトガラスという光景を見ました。ネコの食べているもの(誰かがあげたキャットフード)を狙っているものの、大きなネコなので手出しはできず、食べ残しを待っているようです。
 やがて、私たちがすぐ近くでジロジロ見ているのを嫌ったか、ネコは立ち去りました。すぐさま一羽のハシブトが降りて来てキャットフードを食べ始めましたが、この個体は下のクチバシが大きく横に曲がっていて、イスカのように食い違ってしまっている個体でした。他のハシブトは降りて来ません。
 実は少し前にもこの個体を公園の中で見かけたことがあります。その時は「あれでは長くは生き残れないのではないか」と思ったものです。が、今日のこのハシブトは、他の個体をさしおいてまっ先に餌にありついていて、堂々としたものです。やや体が他のハシブトより大きいようにも見えますが、片方の翼がうまく畳めないようでもあります。なぜこの個体が最初に餌を食べられるのか、不思議でした。

 このハシブト、やがてキャットフードを(自分だけで)食べ終わりましたが、飛び去る様子もなく、今度はこちらをじっと見ています。距離が1メートルちょっとしかなく、こちらは1才の子供を連れていたこともあり、ちょっと緊張しました。しかし威嚇するようなそぶりもありません。
 ここでふと気付いて、持っていたパンをちぎって、カラスに投げてみました。すると案の定、当然のように空中でパンをキャッチし、次のパンを待っています。
 要するに、このハシブトはクチバシが曲がっていることで、人間の同情をひきやすく、人間に餌をもらう機会が多いのではないでしょうか。先ほどネコの餌を独占したのも、カラス同士でのケンカに強いというより、あまりに近くに人間(私達)がいたので他のカラスは警戒して降りてこなかったのに、このカラスだけは人間に慣れているので降りて来ることができたのでしょう。

 そんなことを発見して納得したのですが、このカラスを改めてじっくり眺める暇はありませんでした。「餌をくれる人間」を目の当たりにして安心した他のカラスが、次々に地面に舞い降りて、「こっちにもくれ」という顔をし始めたからです。カラスに餌付けするわけにはいかないので、さっさと逃げて来ました。

 

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