モズ

 スズメよりちょっと大きい程度の小鳥なのに、気の荒い猛禽のような習性。
 冬はメスも含めて単独生活、孤独を好むかと思えば、一方で春〜夏には求愛給餌、仲のいいところを見せてくれる。
 丸っこいユーモラスなボディから、スパっと突き出た長い尾。
 オスは顔の黒い線が鮮やかでいかにも強そうだけど、よく見ると赤茶や灰色のグラデーションが柔らかく美しい。
 「はやにえ」「鳴きまね」など、奇妙な習性。
 いろいろな魅力のある、興味の尽きない鳥だと思います。

 冬の埼玉の野外の風景は、常緑樹が少ないせいか色彩に乏しく、灰色と薄褐色だけで描いたような、ちょっと寂しいものになります。空が灰色に曇って強い北風が吹く日など、寒々しいを通り越して殺伐としているとすら感じます。
 そういう時に、モズがひょいっと風景の中に現れることがあります。本来地味なはずの赤茶色が、灰色の風景の中では暖色の点になって見えます。独特のリズムで尾を振ることもあり、強く生き物の存在を感じます。その姿には、ホッとさせられると同時に、やはり強く孤独も感じさせられます。


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